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【これからの日本の行く末を考える】日本再興戦略を読んで

年末年始休暇もあと少しです。

以前から話題で気になっていた『日本再興戦略』を読んでみました。

近頃、ビジネス書や自己啓発本が多く出版されていますが、ここまで読んでいて目から鱗の本は久しぶりだと思います。

初版からものすごい勢いで売れているそうです。

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 落合洋陽一とは

本の著者の紹介欄を見てみると以下のようにあります。

博士、筑波大学学長補佐・准教授、デジタルネイチャー推進戦略研究基盤基盤長、大阪芸術大学客員教授デジタルハリウッド大学客員教授、ピクシーダストテクノロジーズCEO 

 驚くほど沢山の肩書を持って様々な働き方をしています。

これはこの本で紹介された「百姓的な」働き方(百の生業をもつこと)を自ら実践しているそうです。

この本ではテクノロジー・経済・教育・文化・歴史・アートなどあらゆる分野が語られます。こんなに引き出しが豊富で説得力がある持論を展開されていて単純に頭が良い人なんだろうなーって思います。

日本再興戦略の要約

欧米とはなにか?

日本でよく語られる「欧米」という言葉。

実は欧米とというものは存在しない。

欧州と米国はまったくの別物である。

いまの日本の統治システムは、欧州各国と米国の方式が混ざってできている(大学、法律、農地、生産など)。

それが制度疲労を起こして様々な不具合を起こしているのが現代である。

日本は50~60年くらいに1回は考え方を大きく変えるのが今までの発展においては重要な国であり本当は戦後50~60年の2000年ごろに転換するべきだったがライブドア事件あたりでIT変革の流れは止まってしまった。

原因はこんなことが考えられる。

 ①日本の伝統的な大企業の力が強かったため

②日本人の考え方が昭和的だった

 日本とは何か

出雲政府と大和朝廷の争いが、日本の統治構造を形づくるうえで決定的な影響をもたらした。それ以降は、基本的には天皇という概念を中心にして統治されてきた。

歴史的にみれば徳川幕府の時代の分割統治・地方自治スタイルが日本に向いていた。通貨も地域ごとに沢山生まれて、文化が栄えた。

とくに重要になるのが「百姓的な」生き方。百の生業を成すことを目指す。いろんな仕事をポートフォリオマネジメントしているので、コモディティになる余地がない。機械にも置き換えられない。

テクノロジーは世界をどう変えるか

AI、ロボット、自動運転、AR・VRブロックチェーンなどのテクノロジーが生活や仕事を変えていく。

近代的な教育を施して、人を平均化していくことをやめなければならない。それがマイノリティの問題やワークライフバランスの問題に対する抜本的な解決策である。

日本再興のグランドデザイン

人口減少と少子高齢化が日本にとって大チャンス

自由化、省人化に対する「打ち壊し運動」が起きないこと
人口減少と少子高齢化へのソリューションを輸出する(日本の方が先に少子高齢化に直面しており、これをAIや機械化などによって乗り越えればこのソリューションをこれから少子高齢化を迎える国々に輸出することができる)
教育投資(大人が増え、貴重な子どもへの投資に不平が出にくくなる)→機械化と省人化によって実現する

 政治(国防・外交・民主主義・リーダー)

地方分権が進むと中央政府の求心力が弱まり、国防が弱くなりかねない。

それには「機械化自衛軍」を持つ必要がある。

教育

新しい時代に磨くべき能力は、ポートフォリオマネジメントと金融的投資能力である。

ポートフォリオマネジメントとは複数の職業をもったうえで、どの職業をコストがかさむ部門とするか、どの職業を利益を多く生む部門とするかという考え方。
金融的投資能力とは「何に張るべきか」を予測する能力のこと。

日本の問題点は高校である。ポートフォリオと投資能力を教える適齢期のためOJTによって少しでも社会のことを知るべき。高校を変えるには大学を変える。特にセンター試験をやめる。

会社・仕事・コミュニティ

「ワークアズライフ」の時代において重要なのは、「ストレスフルな仕事」と「ストレスフルではない仕事」をどうバランスするか。

どうやって哺乳類型の小さくてフットワークの軽い企業をたくさん創り出して、恐竜型のでかい企業とつなげて、これまでと違うイノベーションを起こせるか。

個人のキャリアプランとしても、ベンチャーに入ることが賢い選択。

日本再興戦略の感想

この本では日本の目指すべき方向が様々な観点から語られています。

でも、この本では個人のすべきことにも言及されています。

 『自分探し』より『自分ができること』から始める

 この文章が僕には印象的でした。

いつ答えが出るかわからない「自分探し」よりもやったことによって、自分らしさが逆に規定されていくのかもしれません。