【本から読み解く】分断社会ニッポン
休日は本を読む日になっています。
先日、部屋の片隅で忘れていた本が予想以上に面白かったこともあり、部屋の発掘作業が進んでいます 笑
『分断社会ニッポン』という本です。
三名の方の対話で構成されています。
この本のテーマは「貧困」です。
かつて一億総中流といわれる分厚い中間層によって勤労国家として成り立っていた日本ですが、この中間層が下流層に滑り落ちる現象が起きていることによって日本社会の構造そのものが大きく変わってきています。
この本が出版されたのは2016年。
約3年間経過しています。
その後、なにが変わったか。
直近では小学校4年生の女の子の虐待死事件が大きく報道され、その悲惨過ぎる内容から大きく注目を集めています。
世相としては、有効な手段を打てないまま、貧困はより深刻化してきているような印象を受けます。
この本における分断社会とは、日本には統計的に格差が大きく低所得者が多数いるのに、人々は自分が中流にいるという認識を持っている。中間層は転落の恐怖におびえながらも、貧困を自己責任と突き放す社会のことをいいます。
だからあえて増税し、それを財源に教育や福祉といった公的サービスを拡充して、誰もが負担と給付を担う社会を作ろうという内容です。
一番心に残った言葉は前書き部分。
・ 弱った者が自分より弱い者を非難する、「ゆがんだルサンチマン」が、日本社会を覆い尽くそうとしている。傍観すること、無関心であること、それは歴史の加害者になることにほかならない。
・『貧乏なのは自堕落だからだ、努力が足りないからだ---いまでもよく聞く「自己責任」の論理は、日本の伝統的な考え方に深く根づいている。
2016年当時とは政治状況も大きく異なっています。
当時は安倍政権がアベノミクス第三の矢をまさに放とうとしている頃だったみたいです。
当時と今はなにが変わったんでしょうかね。
良くも悪くも特に時代の変遷を変わらずに読めました。
一時期、トリクルダウンという言葉が流行りましたが、一部の富んだ者が得た富は貧者に滴り落ちる前に出涸らしになってしまっています。
個人的にはイスラエルのモサドの、制度設計は性悪説、運用は性善説という話は興味深かったです。