【山に登りたくなる本】だからこそ、自分にフェアでなければならない。
繁忙期のため仕事が多忙です。
分刻みのスケジュールをこなしつつ、朝から晩まであっという間です。
自分のやりたいことを意識づけていかなければ、あっという間に50代くらいのおじさんになってそうです。
そんな慌ただしい日々の中で、営業車で「〇〇の山に登りたいなぁ」なんて考えながら運転をしています。
これを人は現実逃避というのでしょう。
最近はこんな本を読んでみました。
この無駄な肉のないほっそりした後ろ姿がプロの登山家さんらしいですよね。
この本は筆者が竹内洋岳さんという地球上に存在する8000m以上の14座すべてに登頂しているプロの登山家と長野県の八ヶ岳の一部である天狗岳に共に登るところから始まります。
ちなみに僕もこの天狗岳はソロで登ったことがあります。
僕が登ったときは山頂付近も生憎の天気で、時折ガスっておりました。
この本を読みながら、容易にその当時の記憶をたどることができました。
この本は筆者が天狗岳に登りながら竹内洋岳さんをつぶさに観察して、インタビュー形式で独自に山に対する思いや哲学が語られていきます。
ちなみに8000m以上の14座すべての登頂に成功しているのは世界で31人だけ、日本人では竹内洋岳さん一人だけです。
なぜ、日本人で竹内さんだけがこの記録を達成できたのか、なぜ、命を落とすことなく生還しつづけたのか。
竹内さん自身も2005年に34歳の時に登ったエベレストで脳血栓により突然倒れました。「死んでいくところを記録しろ」と仲間に告げたのは、下山後に仲間が自分を見見殺しにしたという周囲の憶測を防ぐためです。
2007年7月には、ガッシャブルムII峰で巨大な雪崩に巻き込まれ、約300メートル落下。共に登っていた3人のうち、1人は死亡し、1人は行方不明になりました。背骨を折ったものの竹内さんだけが幸運にも生還できました。
「何かが決定的に違うはずだ」と、その理由を探ったルポタージュです。
インタビューのなかで、山以外のところにも通用しそうな深い言葉が散りばめられています。
「8000メートルを超えると、経験は役に立ちません。むしろ余計だという気もするのです。経験を持ち込んでしまうっていうのは、非常に危ないと思います。何故ならば、同じ山は二つとないからです」
山に登る方も登らない方も登ってみたい方も読んだら関心がわく本だと思います。