【今、見ている世界は本当に正しいのか】日報隠蔽 南スーダンで自衛隊はなにを見たのか
少し前に読んだ本です。
『関係資料は廃棄しました』
『現地で行われているのは「戦闘」ではなく「武力衝突」である』
当時の国会答弁は疑惑を加速させるのには十分でしたね。
なによりも驚きだったのが、この国でエリートと言われる人達。
いわゆる学歴も経歴も最高な方々が、貴重な時間を使って集まって国民の血税を使いながらこの程度の言葉遊びに終始してしまう現実。
民間企業だったら確実にアウトですね。
営業マンが失敗をしてクレームになりそうになる。
客から事実関係を問い詰められると「関係資料は廃棄しました」なんて答えたらその営業マンも営業マンの属する企業も信頼を失って存在できなくなってしまうでしょう。
ああいう誰もが嘘だと内心ではわかっていることを自分達しか理解できない複雑なロジックで押し通そうとする。
ああいうのを厚顔無恥っていうんでしょうかね。
日本人は70年前の「撤退」を「転進」と称した時代からあまり進歩してないのかもしれませんね。
そして日報問題はもう旬は過ぎましたが、別の案件でも同じことが繰り返されています。
たまに思います。
『自分達が当たり前だと思っていることは本当に正しいんだろうか』
『誰かが恣意的にそう思い込ませているだけなのではないか』
いつの時代でも国家は国民に自分の都合の良いものしか見せたがらないのです。
この本は『日報隠蔽問題』のきっかけを作った布施祐仁さんと朝日新聞のアフリカ特派員として現地取材を続けた三浦英之さんの共著です。
二人のジャーナリストが丹念に取材をして真実を明らかにしています。
きっかけは防衛省への情報公開請求。
そこで開示されたのは2013年12月から2014年5月までの「教訓要報」。
そこに記されていたのは以下のような記述。
「銃声が近くなる」
「曳光弾が視認される」
「全隊員が防弾チョッキ及び鉄帽を着用」
「緊急の撤収計画を決裁した」
普通の人間の感覚を持ってしたら確実に『戦闘地域』である。
それを『戦闘ではない』と言い切ってしまう日本の政治家。
そしてこの本では現地の取材でこのように確認されています。
自衛隊の宿営地の隣の建物で、200人と400人の兵士が2日間にわたり、自動小銃やロケットランチャーを使ってバンバン撃ちまくっていたという、まさに「戦争」そのものだった。
当時、南スーダン政府軍は、外国の人道支援者たちが拠点とするホテルを襲い、暴行、掠奪などの蛮行を繰り返していました。
救助の要請があったにも関わらず、PKO部隊は動かない。
出動すれば南スーダン政府軍との交戦になる危険性があったからです。
軽装備のPKOは重装備の政府軍に太刀打ちできないわけです。
そんななかで政府は自衛隊に「駆けつけ警備」という新任務を付与したわけです。
もちろんそれは現地では派遣部隊は「工兵」であって戦闘部隊ではないと周知は行っていたそうですが。
不都合な真実は隠そうとする官僚。
普通の感覚を持ってしたら言っていることがおかしいのにそれを正々堂々と答弁してしまう政治家。
現地との間で嘘に塗り固められて「国益」という名のもとに実際に派遣される隊員の方は大変だなと改めて思いました。